コラム
2025.11.24
注文住宅を建てるうえで地盤は大切!強度の重要性や宇治市周辺の災害リスクを解説
注文住宅を地盤の弱い土地に建てると、家が傾くほか、土砂災害や液状化の被害を受ける可能性があります。重要なのは地盤の強度を把握し、対策することです。今回は、注文住宅の建築時に欠かせない地盤調査や改良の方法と併せて、地盤の強度の見抜き方を解説します。京都府宇治市・城陽市・京田辺市・京都市の災害リスクについてもまとめたので、周辺でマイホームを検討中の方は、ぜひご一読ください。
| 目次 |
注文住宅を建てる際の地盤が弱いとどうなる?

まずは注文住宅を建てる際、なぜ地盤の強さが重要なのかについて見ていきましょう。
地盤が弱い土地に建てた家で生じ得るトラブル
地盤が弱い土地に家を建てた場合、建物の重みを支えきれず、家が地面に不均等に沈んで傾く可能性があります。その結果、さらに以下のようなトラブルが懸念されます。
・窓やドアを開閉しにくくなる
・外壁や基礎に亀裂が生じる
・資産価値が低下する
・健康面に悪影響をおよぼす
住宅の沈みや傾きを修復するには、場合によっては建築価格と同程度の費用を要することもあります。そのため、注文住宅を建てる際には地盤の強さを確保することが重要です。
地盤と災害との関係
地盤が弱い土地では、災害時にもトラブルが発生しやすいリスクがあります。災害時に生じうるトラブルには、液状化や土砂災害が挙げられます。詳しく見ていきましょう。
災害によるトラブル1|液状化
地盤の強度が低い状態の砂地では、地震により液状化が発生する可能性があります。通常、地盤は砂の粒子が結びついた状態でバランスを取っています。しかし、地下水位が高い土地で地震が発生すると、支え合っていた粒子同士が離れ、地中の水に浮いた状態、すなわち液状化するおそれがあるのです。地盤が液状化すると、さらに地盤沈下や陥没、噴砂などを引き起こし、住宅が傾くリスクがあります。
災害によるトラブル2|土砂災害
地盤が弱い土地では、地震に加え豪雨などによっても土砂災害が発生する可能性があります。主な土砂災害の種類は以下の3つです。
・土石流
・地すべり
・がけ崩れ
土石流は、豪雨により水と一緒に山川の石や土砂が激しく流れ下る現象を指します。一方地すべりは、地下にしみ込んだ水の影響で、緩やかな傾斜の土地がゆっくりと動き出すのが特徴です。ただし、状況によっては一気に滑り出す場合もあるでしょう。
傾斜度が急な土地で、斜面が崩れ落ちるがけ崩れは、豪雨や地震によって引き起こされます。いつ起きてもおかしくない災害時の被害を抑えるために、地盤の強さが求められるのです。
地層の種類と強度の目安

次に、地盤の強さに影響を与える地層について解説します。地盤には、主に洪積層・沖積層・岩盤・人工地盤の4種類の地層があります。各地層の特徴を表にまとめました。
| 洪積層 | 沖積層 | 岩盤 | 人工地盤 | |
| 特徴 | 礫(れき)層・砂層またはローム層から成る | 礫層や砂層の他、粘土層や腐食土層などがある | 火成岩・堆積岩・変成岩などの岩石が集まったもの | 埋め立てや盛り土などにより、人工的に作られた地盤 |
| 強度 | 高い | 種類で異なる | 比較的高い | 低い |
| 災害との関係 | 災害時に被害を受けにくい | 粘土層や腐食土層は強度が低いため、宅地には不向きである | 2,300万年前以降に形成された「軟岩」では、地すべりが発生する可能性がある | 地盤沈下や液状化、地すべりなどが生じやすい |
地層によって地盤の特徴や強度は大きく異なります。注文住宅を建てる前の土地探しの段階で、地盤の適性をしっかり見極めることが大切です。
注文住宅に欠かせない地盤調査

家づくりにおける地盤の重要性がわかったところで、次は地盤調査についてみていきましょう。
地盤調査の目的
地盤調査の目的は、建物を建築する前に、地盤の状態を確認することです。先述のとおり、地盤の強度が低い土地に家を建てた場合は家が沈んだり傾いたりといったリスクがあるため、事前の地盤調査は欠かせません。
また建物を建築する際は、地震や風雨への耐久性や安全性を確認するために、構造計算を行います。この構造計算を行う際も、地盤の状況を調査し把握する必要があるのです。
地盤調査の種類と特徴
地盤調査の方法にはいくつか種類があります。ここでは、住宅を建てるうえで一般的な2つの調査方法について紹介しましょう。
| 調査名 | 特徴 |
| SWS試験 | ・旧スウェーデン式サウンディング試験とも呼ばれる ・住宅の四隅と中央部にあたる場所の強度を測定 ・貫入に要する装置の回転数やおもりの重量から、強度を判断 ・費用相場は5万円、調査時間は半日~1日 |
| 標準貫入試験 | ・ボーリング機器を使用した精度の高い調査方法 ・マンションなど大規模な住宅の建築時に採用されている ・地盤の強度と同時に地質も調査できる ・費用相場は20万~30万円、調査期間は数日間 |
戸建ての注文住宅を建てる際は、一般的にSWS試験が採用されます。
調査結果次第で必要になる地盤改良|種類と特徴
調査の結果、地盤に問題があった場合、地盤改良が必要です。地盤改良には主に4つの工法があります。それぞれの特徴を表で見ていきましょう。
| 工法名 | 特徴 |
| 表層改良工法 | ・地表から2m程度の地中でセメント系固化材と土を混ぜ合わせ、地表周辺を固める ・地盤の弱い層が2mに達しない場合に適している |
| 柱状改良工法 | ・地面に直径約60㎝の穴を開け、地中にセメントの柱をつくる ・地盤が軟弱な地層が2~8mほど続く場合に適している ・強度な地盤がない土地でも可能 |
| 鋼管杭工法 | ・強固な支持層に鋼管の杭を打ち、地盤を強化 ・地中20m前後まで地盤を補強可能 |
| 既製コンクリートパイル工法 | ・直径20㎝ほどの既製のコンクリートパイルを地中に複数本圧入 ・土質の影響を受けずに地盤を改良可能 |
このほかにも、砕石を用いて水はけを良くしながら地盤補強を施す工法などもあるので、住宅を建てる土地の状態に合わせて、適切な方法で地盤改良を行うことが大切です。
注文住宅を建てるに適した地盤を見抜くポイント

ここからは、土地探しの段階で知っておきたい、地盤の強さを見抜くポイントを紹介します。地盤の強さ・弱さの手掛かりになる土地の特徴を表にまとめました。
| 地盤が強い土地の特徴 | 地盤が弱い土地の特徴 |
| ・標高が高い ・台地や丘陵地など地層形成の年代が古い |
・もともと水田や沼だった ・埋め立てや盛土により造成されている ・三角州や海岸平野などの地形にあたる |
地盤の強度を見抜くために、ハザードマップを活用するのも有効な手段です。土地を探す際は、ハザードマップで周辺の揺れやすさや液状化の可能性についてチェックしておきましょう。
また土地の過去の利用状況を調べ、水田や沼地、湿地帯だった土地を避けるのも、重要な選択といえるでしょう。
宇治市周辺における災害情報をチェック

地盤の状態によっては、災害時に地すべりや地盤沈下、液状化が生じるリスクがあります。最後に、宇治市周辺における災害情報をチェックしておきましょう。
京都府における過去の災害
京都府内では、台風や豪雨、地震により、これまで多くの土砂災害が確認されてきました。土石流や地すべりにより、住民や家屋が被害を受けた記録も多く残っています。
また、地震にも注意が必要です。1995年の阪神・淡路大震災では、京都市において震度5を記録しています。京都府全域における家屋の被害は2,750戸でした。
参考元:京都府|災害年表
参考元:京都府|過去の主な災害(昭和47年の災害)
参考元:京都府|過去の主な災害(平成16年台風23号による災害)
京都府で今後注意が必要な災害
南海トラフ地震が発生した場合、宇治市・城陽市・京田辺市・京都市はいずれも震度6強の揺れを観測すると予測されています。木津川沿いでは液状化のリスクが高いといわれており、京都市の南西部、宇治市・城陽市の西部、京田辺市の東部では、特に注意が必要です。
また、京都市および宇治市にある花折(はなおれ)断層帯に起因する地震が生じた場合、被害の大きさは南海トラフ地震以上になると予想されています。
住宅の耐震性を高め、免震装置を採用するといった地震対策だけでなく、地盤の強度を考慮した土地探しが重要です。
グランライフでは、地盤調査の結果をお施主様に丁寧に説明。地盤改良工事も怠りません。土地探しからじっくりサポートします。
参考元:京都府|京都府2014 南海トラフ地震(マグニチュード9.0)
参考元:京都府|京都府2024 花折断層帯(マグニチュード7.5)
宇治市周辺で土地探しから家づくりするならグランライフへ

注文住宅を建てる際は、地盤調査が欠かせません。土地の状態に適した方法で地盤改良を行いましょう。宇治市周辺には、地震による液状化が懸念されるエリアも点在しているため、ハザードマップなどを確認し、地盤対策を十分に行いましょう。
グランライフでは断熱性・気密性・耐震性に優れた高性能住宅を手掛けています。地盤調査のほか、敷地調査も入念に行い、土地を活かした理想の家づくりを実現。R+houseの建築家とともに、おしゃれで機能的な住まいを予算に合わせて提案します。宇治市・城陽市・京田辺市・京都市で注文住宅をお考えの方は、グランライフにご相談ください。
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記事監修者:中小企業診断士(住宅コンサルタント)塩味 隆行
一般社団法人 住宅資産価値保全保証協会認定講師
住宅検討をされている方が後悔しない家づくりを実現いただくため、 全国各地で年100回以上、家づくりセミナーの講師を担当しています。 住宅購入の際に必要となる性能や土地についての基礎知識から、 資金計画などの専門的なことまで、客観的かつ具体的に情報をお伝えいたします。
