コラム
2025.11.02
パッシブデザインの要素やメリット・デメリットを解説!宇治市周辺の事例も
自然の風や太陽の光・熱などを活用し、省エネで快適な室内環境を叶えるパッシブデザイン。家づくりに取り入れることで光熱費削減につながる一方、施工には高い技術力が必要です。今回は、パッシブデザインに欠かせない要素と併せてメリット・デメリットを解説。パッシブデザインと京都府宇治市・城陽市・京田辺市の気候との関係もまとめました。グランライフによる施工事例も紹介するので、理想のマイホーム計画を具体的に進めるための一助となれば幸いです。
| 目次 |
パッシブデザインの家とはどんな住まい?
ウッドデッキのアウトドアリビングがあるダイニングキッチン
「パッシブデザイン」とは、太陽の光と熱や風といった建物周辺の自然環境を利用し、室内を快適にする設計手法を指します。「パッシブ=passive」とは「受動的」という意味。パッシブデザインを取り入れた住まいでは、機械的なエネルギーの使用を抑えながら、明るく心地良い住環境の実現を目指せます。
パッシブデザインを実現するための5つの要素

パッシブデザインを住まいに取り入れるには、欠かせない5つの要素があります。一つずつ見ていきましょう。
日射遮蔽(しゃへい)
日射遮蔽とは、太陽の光を遮ることです。主に夏の日差しを室内に入れないようにすることで、室温の上昇を防ぎます。
具体策としては、軒(のき)や庇(ひさし)を活用したり、窓の外側にシェードやブラインド、すだれなどを設置したりする方法があります。また、落葉樹を窓際に植えることで、夏は葉が日差しを遮り、冬は葉が落ちて日差しを取り込むといった、自然の力を借りた工夫も有効です。
日射熱利用暖房
寒い冬は、夏とは反対に太陽の熱を室内にできるだけ取り込めるよう設計します。日射熱を利用し室温を上げ、冬場の暖房の使用量を抑えられるよう計画するのです。
日射熱を利用するためには、土地周辺の日照をシミュレーションして設計する場合もあります。また、集めた熱を蓄えるための設計も重要です。
昼光利用
パッシブデザインでは、日中の室内照明への依存を減らすため、太陽の光を最大限に室内に取り込み、自然な明るさを確保します。
高窓や吹き抜けを設ける、室内の壁の一部に半透明のガラスを用いるなどの方法で、日光を取り込むのが一般的です。こちらも日射熱と同様に、日照をシミュレーションし、間取りや窓の配置を計画する場合があります。
自然風利用
住まいに自然の風を取り込むと、室内の空気を循環しやすくなります。心地良い温度と湿度を保ちやすく、快適な暮らしにつながるでしょう。また、春や秋に穏やかな風を感じられるだけでなく、暑い夏も朝夕には涼しい空気を取り入れやすいのもポイント。
自然風の利用には、窓の位置や大きさなどを工夫し、風通しを考慮した設計が重要です。
断熱性・気密性
自然の力を利用した快適な空間を維持するためには、住まいの断熱性と気密性を高めることが欠かせません。断熱性および気密性が低いと、夏場にいくら日射遮蔽できていても、外気温の影響による室温上昇は避けられないでしょう。また、冬場に日射熱を取り込んでも隙間風が多ければ暖かさを維持できません。そのため、断熱材を壁や屋根、基礎に適切に施工し、気密性の高いサッシ(例:樹脂サッシ)や建材を使用することが、パッシブデザインの性能を最大限に引き出すための大前提となります。
グランライフでは、国の定めるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準を大幅に上回る断熱性能を持つ住まいを実現しています。また、高精度の建築部材や専用資材を用いて住宅の気密性を高めている他、施工後には気密測定も行っています。
>>参考コラム:注文住宅に必要な断熱性能は?UA値や断熱等級と宇治市の基準値について解説
>>参考コラム:京都で快適な注文住宅には気密性が欠かせない!光熱費との関係や宇治市周辺の情報も
パッシブデザインを家づくりに取り入れるメリット

続いて、パッシブデザインの家を建てるメリットを見ていきましょう。
光熱費を節約できる
パッシブデザインを取り入れた住宅は、自然のエネルギーを活かすことで、照明や冷暖房の使用を最小限に抑えます。そのため、生活に必要な光熱費のコストダウンにつながるでしょう。
また、パッシブデザインは、CO2の排出量削減にも期待できるため、地球環境にも配慮した持続可能な暮らしを実現できます。
季節を問わず快適な居住環境を保てる
夏の暑さや冬の寒さを軽減できるパッシブデザインの家では、季節を問わず快適な室温を保てます。住宅内の温度差も小さくできるため、特に冬場に懸念されるヒートショックの予防にもつながるでしょう。
また、適切な通風計画により室内の湿度が安定しやすく、結露によるカビやダニの発生を抑制できます。カビやダニはアレルギーや喘息といった健康被害につながりかねません。そのため、パッシブデザインは、健康面におけるメリットもあるといえるのです。
家を建てる土地周辺の環境に合わせた設計ができる
パッシブデザインでは、家を建てる土地周辺の環境を活かして設計を行います。周辺環境への配慮を怠った設計では、住宅の採光や風通しが悪くなる可能性も。その点、パッシブデザインを取り入れた住まいでは、建てた後に「日当たりが悪かった」「風通しが良くない」といった後悔が起こりにくいのが特徴です。
パッシブデザインにデメリットはある?

省エネで快適な暮らしを実現できるパッシブデザインですが、気を付けたいデメリットもあります。
設計ができる建築会社が限られる
パッシブデザインの住宅を建てるには、気候や日照、通風などに関する高度な専門知識と、それらを具体的な設計に落とし込むデザイン力、そしてそれを正確に形にする施工技術が不可欠です。パッシブデザインのノウハウと実績を持つ建築会社は、残念ながらまだ限られているのが現状です。
グランライフでは、建築家とタッグを組むことで、土地や周辺環境の特徴を活かすパッシブデザインを取り入れた、デザイン性と機能性を両立させた住まいを実現できます。
>>参考コラム:宇治市、城陽市、京田辺市で建築家と注文住宅を建てよう!メリットを紹介
建築コストが高くなる傾向がある
パッシブデザインを取り入れた住宅は、高性能な断熱材や気密性の高いサッシの使用、複雑な設計などにより、一般的な住宅に比べて施工費や材料費などの建築コストが初期費用として高くなる傾向があります。ただし、これは初期投資と捉えることができます。入居後の光熱費削減効果や、快適性・健康面の向上といった長期的なメリットを考慮し、トータルコストで判断することが大切です。
グランライフでは、マイホームの資金計画の段階からお施主様をサポート。理想の住まいを予算に合わせて提案します。
>>参考コラム:宇治市における注文住宅の建築相場は?コスト削減方法など家づくりのヒントも
>>参考コラム:城陽市の注文住宅の費用相場は?コストダウンの方法も伝授!
>>参考コラム:京田辺市の注文住宅相場と坪単価まとめ!自分の年収でできる家づくりを解説
宇治市・城陽市・京田辺市の気候|パッシブデザインとの相性

宇治市・城陽市・京田辺市は、いずれも京都府の南部に位置しており、山城地域に属します。瀬戸内気候と内陸性気候の影響を受けやすい山城地域は、朝晩と日中の気温差・夏と冬の寒暖差が大きいのが特徴です。
ここで、山城地域を代表する京田辺市の日照時間および気温の平年値を見てみましょう。なお、データは1991〜2020年の観測値に基づいています。
| 日照時間(時間) | 日最高気温(℃) | 日最低気温(℃) | |
| 1月 | 130.5 | 9.1 | -0.6 |
| 2月 | 127.8 | 10.0 | -0.4 |
| 3月 | 167.2 | 13.9 | 2.3 |
| 4月 | 186.3 | 19.9 | 7.2 |
| 5月 | 201.9 | 24.9 | 12.6 |
| 6月 | 155.0 | 28.0 | 18.0 |
| 7月 | 170.9 | 31.8 | 22.4 |
| 8月 | 216.7 | 33.4 | 23.0 |
| 9月 | 163.3 | 29.0 | 18.9 |
| 10月 | 162.8 | 23.2 | 12.4 |
| 11月 | 141.4 | 17.2 | 6.2 |
| 12月 | 138.0 | 11.6 | 1.4 |
| 年 | 合計1,961.8 | 平均21.0 | 平均10.3 |
山城地域は京都府の北部や中部に比べ、日照時間が長い傾向があります。さらに、2024年における京田辺市の最高気温は39.0℃、最低気温は-4.9℃となっており、夏の暑さと冬の寒さがいずれも厳しい地域です。
寒暖差が大きく日照時間の長い宇治市・城陽市・京田辺市は、夏の日差しを遮蔽し冬の太陽光を住まいに取り入れるパッシブデザインと相性が良いでしょう。
参考元:京都府|山城地域の紹介
参考元:国土交通省 気象庁 京都地方気象台|京都府の気象特徴
参考元:国土交通省 気象庁|京田辺(京都府)平年値(年・月ごとの値)主な要素
参考元:国土交通省 気象庁|京田辺(京都府)2024年(月ごとの値)主な要素
参考元:城陽市|城陽市地球温暖化対策実行計画
参考元:宇治市|第2章 宇治市の現状
参考元:城陽市|第2章 城陽市の環境の現況と課題
参考元:京田辺市|第2章 環境の現況と課題
>>参考コラム:宇治市・城陽市の気候を解説!家づくりで大切にしたいポイントとは
【施工事例】グランライフが手掛けるパッシブデザインの家を紹介!
最後に、グランライフがパッシブデザインを取り入れて施工した注文住宅を紹介します。

今回紹介するのは、周辺住宅との距離が近い土地でパッシブデザインを取り入れた住まいです。周囲からの視線に配慮し、プライバシーを保護しながら、自然のエネルギーを取り込めるよう設計しました。

外部の視線が届きにくい南側を選んで、吹き抜けと開口を設置。自然光を取り込み、明るく開放感のあるLDKを実現しました。
また、開口部はウッドデッキのある中庭につながっており、より広々とした空間を演出しています。

風通しを考慮した高断熱・高気密な設計のおかげで、夏場は吹き抜けに面した壁に設置したエアコン1台で、家じゅう快適な室温を保てます。パッシブデザインにより、心地良い空間を実現した住まいです。
>>施工事例:家族との程よい距離感を保った、中庭とパッシブデザインを取り入れた心地いい家
宇治市周辺でパッシブデザインの家を建てるならグランライフへ
太陽の光や熱、風といった自然の力を活かしたパッシブデザインは、光熱費を抑えた快適な暮らしにつながります。パッシブデザインの家は、身体にも地球にもやさしい住宅といえるでしょう。また、宇治市を含む山城地域は、パッシブデザインとの相性が良いエリアです。周辺でマイホームを建てる場合は、パッシブデザインの導入を選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。
グランライフでは、断熱性・気密性に加え、耐震性にも優れた高性能住宅を提供しています。土地探しのサポートも行っていますので、おしゃれで機能的な家を宇治市・城陽市・京田辺市で建てたい方は、是非グランライフにご相談ください。
>>宇治市周辺で叶える快適で省エネな暮らし!グランライフの高性能住宅についてはこちら
記事監修者:一級建築士 大沼 冴子
工学部建築学科卒業、店舗設計会社、建築設計事務所勤務。建築設計事務所では、官公庁の施設・住宅や工場・大規模倉庫など幅広い建築意匠設計に携わる。現在は設計経験を活かした商品磨き、新メニューやツールの開発、研修などを通した工務店支援に加え、大学の非常勤講師として環境設計の講義を受け持っています。
